ごあいさつ

 

 

 この展覧会は2015年、京都御所小御所の襖絵を間近で拝見する機会をいただいた事から始まります。江戸時代後期の建築である京都御所の御殿の中で、小御所だけが昭和29年の火災で焼失後再建された新しい御殿です。内部の襖絵もその際に失われたものを、菊池契月の一門の画家が「模写」したものでした。しかし焼けてしまったものをどのように模写したのか、どのような方針で描いたのかなど、よくわからないこともありました。そこでさまざまな資料からこの作品を総合的に調べる研究に着手しました。本展はその成果であり、およそ次のような構成になっています。

1 小御所の障壁画再建
・小御所とは
・小御所障壁画と特徴
・再建の過程と資料
・小御所障壁画の意義
2 菊池契月一門
・菊池塾とは
・塾生の本画
・本学の教育研究資料として残した模写
3 模写のいろいろ
・時代と目的によるさまざまな模写の違い
4 小御所襖絵の新たなうつし実践
・本展企画者の一人小林玉雨によるうつし

 この展示を通じ、小御所をはじめとする模写の新たな魅力に触れていただけましたら幸いです。
 なお調査・資料提供・写真使用等をご許可いただきました宮内庁京都事務所、研究助成を賜りました公益財団法人芳泉文化財団、貴重な下絵をご出品くださいました原在義様には厚く御礼申し上げます。



2022年10月 主催者


Copyright (c) University Art Museum of Kyoto City University of Arts 2015.All Right Reserved