ごあいさつ

 

 芸術資料館の収蔵品は、来年140年を迎える本学の歴史の中で、様々な機会を得て集められてきました。それは本学にとって歴史の語り部ともいえます。

 模写は古くから絵画の学習における一手段や、貴重で実見が難しい本物の代用品などの役割を担ってきました。近代以降はその目的・役割が多様化し、それとともに様式も変化しています。例えば次のような用途が挙げられます。

・美術学校という研究、教育機関の資料
・文化財の現状を正確に記録する資料
・運筆手本に代わる初学者用の手本
・時代による「さび」を含めて味わう鑑賞絵画
・科学的な分析を活用した復元

 これらの用途の違いによって、線一本の描き方も違ってきます。一見、変わらないものの代表のように見える古画の模写ですが、実は極めて歴史的な産物なのです。
 当館には、江戸時代から平成まで、数多くの模写が所蔵されています。これらを読み解くことで、人の手でうつし伝えられてゆくものの可視化を試みます。

本展企画担当
 美術学部日本画博士課程/非常勤講師 小林玉雨
 美術学部教授 田島達也


2019年10月 主催者


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