卒業作品−明治の図案科
平成16年1月27日(火)〜2月22日(日)
会場:京都市立芸術大学芸術資料館陳列室
 恒例となりました卒業作品の展示です。本館の収蔵品の中から,本学の前身である美術工芸学校の図案科作品を展示いたします。
 明治21年京都府画学校に設けられた応用画学科は,3年後に京都市美術学校の工芸図案科となりました。こうして生まれた図案科は,その後もながく継続し,昭和23年まで続く京都市立美術工芸学校において,さまざまな意匠教育を行いました。今回テーマとしたのは,かつて京都の基幹産業だった染織に関る,明治時代の意匠作品です。
 図案科といっても,当初は絵画教育を基本としており,卒業作品が日本画そのものであったことは興味深く,図案がいまだ絵画的世界から自立していなかったことをうかがわせます。こうした伝統が,猪飼嘯谷や秦テルオのように,その後,絵画の世界で活躍する作家を輩出する要因となったのでしょう。
 しかし,時代の流れの中で,着実に意匠の世界は新しい表現を獲得していきました。展示数こそ多くありませんが,大半が久しく展示されていないものです。学生たちがどのように時代の息吹を感じとり,自らの創作に結びつけようとしていたのか,時の移り変わりを,楽しく感じていただきたいと思います。
展示データ
コード:E189/開催日数:27日/展示点数:20点
明治の図案科年表
作者 名称

*凡例
市美=京都市美術学校
市工=京都市美術工芸学校
美工=京都市立美術工芸学校
材質 技法 形態 員数 制作年 備考
奥村耕仙 婦人衣装図案 市美乙部工芸図案科卒業作品 和紙/顔料 膠彩

1面

明治27年 1894  
山崎小仙 卓被図案 市美乙部工芸図案科卒業作品 絹布/顔料 膠彩

1幅

明治27年 1894  
加藤子清彦 重盛捕蛇図 市工図案科卒業作品 絹布/顔料 膠彩

1幅

明治29年 1896  
岡田紫郊 太安麻呂 市工図案科卒業作品 絹布/顔料 膠彩

1幅

明治30年 1897  
沢田宗山 春の夜の歌の意 市工図案科卒業作品 絹布/顔料 膠彩

1幅

明治33年 1900  
猪飼嘯谷 宗良親王 市工図案科卒業作品 絹布/顔料 膠彩

1幅

明治33年 1900  
若林滴翠 友禅図案 市工図案科卒業作品 絹布/顔料 膠彩

1幅

明治33年 1900  
高田喜亭 鐵剪花模様壁掛図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治36年 1903  
高村寛斉 蔦模様段通図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治36年 1903  
中西晴霞 夕顔模様抹額図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治36年 1903  
小川南溪 婦人礼服及頭飾図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治37年 1904  
秦テルオ 藤花蒲公英応用卓被図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治37年 1904  
秦テルオ 羊歯並水仙応用敷物図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治37年 1904  
秦テルオ 羊歯並水仙応用敷物図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治37年 1904  
太田不古 董花応用寝台掛図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治38年 1905  
川畑契水 四季草花応用壁張図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治39年 1906  
千熊章禄 春興之意壁掛図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治39年 1906  
布施吉吉詮 芥子応用寝台掛図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治40年 1907  
久保峻彩 孔雀模様刺繍壁掛図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治44年 1911 絵専美工両校生徒作品展
大高為山 四季草花応用卓被図案 美工図案科卒業作品 和紙/顔料 著彩

1幅

明治45年 1912 絵専美工両校生徒作品展


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