ごあいさつ

 

 

 芸術資料館の収蔵品は、140年を越える本学の歴史の中で、様々な機会を得て集められてきました。それは本学にとっての語り部ともいえます。
 本展では、平成時代(1989-2019)に制作された本学ゆかりの画家による日本画作品を展示します。約30年にわたる平成はバブルの崩壊にはじまり、社会が大きな転換を迎える時代です。歴史的にも新たな千年紀を迎える節目となりました。インターネットの普及を背景に個人の活動が活発となり、美術の世界では現代美術の浸透が加速しました。日本画の分野でも、変化は明確になり、制作する側にも、作品を見る側にも、それを流通させる側にも新しい動きが生まれました。
 京都市立芸術大学が沓掛校地で紡いだ歴史の大半は平成時代です。社会の激動に比較すれば、むしろ広くなった校舎でのびのびと教育を行うことができた時代でもあり、それは学生の意識にも反映しました。本学の日本画の教員と、学窓の作家の作品を通して、平成時代の日本画の世界に触れていただきたいと思います。
 紹介するのは、本学教員を務めた石本正、岩倉寿、上村淳之、小嶋悠司、竹内浩一、山岸純、山﨑隆夫ら日展や創画会などの美術団体で活躍する作家と、本学に学んだ畠中光亨、林潤一ら新しい枠組みの中で活動の場を広げた作家たちです。彼らの作品は昭和と平成の時代をつないで、この令和の時代に確かなメッセージを伝えています。
 小品から大作まで、限られた点数ではありますが、多彩な作品群を皆様どうぞごゆっくりご観覧ください。


2021年9月 主催者


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