ごあいさつ

 

 本展では,本学の前身にあたる京都市美術工芸学校(以下 美工),京都市立絵画専門学校(以下 絵専)の卒業作品を中心に当館収蔵の動物画をご紹介します。また,入江波光の《駿牛図》や川北霞峰の《鳥獣人物戯画》などの模本,角倉一方堂《加彩猿置物》や川本半助《霊獣飾蓋物》など江戸時代から明治時代の陶磁器,後漢時代や唐時代の俑などもあわせて展示します。
 古くから日本人にとって動物というモチーフは,壁画や屏風,絵巻などの平面に描かれるだけでなく,陶磁器や漆工などの工芸にもデザインされてきました。今回出品している明治の終わりから大正にかけての美工や絵専の学生たちは,京都画壇の伝統を受け継ぎながらも新しい時代の写実表現を求めて動物を作品にしました。動物の身体の構造や毛並みなどを的確にとらえながらも,季節表現や親子が寄り添うシチュエーションなどによって絵画としての佇まいがあり,鑑賞者の好奇心を刺激し親近感を覚えさせます。また,動物の身体造形の美しさや構図の巧みさから,獣が持つ緊張感や気高さを感じさせます。雪解けの季節のクマや,木蓮の下で憩うヤギ,沐浴をする水牛,親子で寄り添うライオン,吹雪の中で振り返るシカなどの動物を通して,卒業生たちの眼差しにふれてみていただければ幸いです。

2017年4月 主催者


Copyright (c) University Art Museum of Kyoto City University of Arts 2015.All Right Reserved