ごあいさつ

 

本展では、収集した模本資料の中から、妖怪など異形のものを描いた日本の物語絵の世界をご覧いただきます。自然崇拝の精神文化を持つ日本では、様々なものに神霊の存在を認めます。そうした神霊の中には人に幸福をもたらすものもあれば災厄をもたらすものもあります。私たちの世界はそうした目に見えない力に常に曝されていると考えてきました。そして先人達は、この本来見ることのできない世界を、想像の翼を広げ描きつづけてきたのです。
 会場は「付喪神」「百鬼夜行」「六道」の三つのテーマから撰んだ作品で構成しました。目に見えない彼らが姿を現す時、それは彼らの世界と私たちの世界の境界を目にしているのです。先人の想像力を現実のものとして、妖怪三昧を体験して見てください。
 明治後期から収集されてきたこれら模本が、展覧会を観覧された皆さんの新たな発見のお手伝いとなることを願っています。皆様どうぞごゆっくりご観覧ください。

2016年7月 主催者


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