ごあいさつ

  芸術資料館の収蔵品は、130年を超す本学の歴史の中で、様々な機会を得て集められてきました。それはこの学校にとって歴史の語り部でもあります。
 今回の展示では、本館の粉本資料の中から土佐派絵画資料を紹介します。昭和28年に寄付を受け、総数は約2000点に上ります。
 この資料の貴重な点は、大和絵の流派を代表する土佐派において、本流にあたる家系の絵画資料及び文書が、350年という長期間にわたる資料として遺されていることです。これは希有な文化財といえます。
 最初に土佐を称したのは15世紀の行広とされます。後に光信が流派を確立するも、戦国の争乱で血筋は断絶します。流派を継承した門人光吉は堺に逃れ、その子光則の代に入洛しますが、画所預に復したのは孫の光起の代でした。ごらんいただくのは、堺時代の光吉、光則から、入洛後の光起、光成に至る16~17世紀の粉本です。人・花・鳥を主題とし、土佐家における肖像と写生の考え方をうかがわせる資料を選びました。
 この展示が、展覧会を観覧された皆さんの新たな発見のお手伝いとなることを願っています。皆様どうぞごゆっくりご観覧ください。

2015年9月 主催者


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