ごあいさつ

 芸術資料館の収蔵品は、130年を超す本学の歴史の中で、様々な機会を得て集められてきました。それはこの学校にとって歴史の語り部でもあります。
 今回の展示では、本館の工芸資料の中から京都市立美術工芸学校の参考品として収集された陶磁器コレクションを紹介します。
 明治27年に京都市美術學校は京都市立美術工芸学校と改称しました。明治23年に生まれた工芸図案科の存在を大きく打ち出した校名に変わったのです。この年は日清戦争開戦の年として知られていますが、実は学校にとっても転換点となっていました。彫刻科の新設、卒業作品買上開始のほか、重要なのが国庫補助金の交付開始でした。
 明治26年に竣工した、真新しい御所東南隅の校舎において、教育の刷新が模索されます。その中で、国庫補助金のかなりの部分が、古画や陶磁器、漆器など美術工芸の収集に向けられたのです。これらが本館の古美術コレクションの中核を形成しました。この展示から、資料収集の歴史を実感していただければ幸いです。
 展示された資料が、展覧会を観覧された皆さんの新たな発見のお手伝いとなることを願っています。皆様どうぞごゆっくりご観覧ください。

2015年7月 主催者


Copyright (c) University Art Museum of Kyoto City University of Arts 2015.All Right Reserved