京都市立芸術大学は，1880（明治13）年に日本初の公立の絵画専門学校として設立された京都府画学校を母体とする，日本でもっとも長い歴史を持つ芸術大学です。1889（明治22）年に市に移管された画学校は，京都市立絵画専門学校，京都市立美術専門学校と変遷を経た後，1950（昭和25）年に日本画科・西洋画科・彫刻科・工芸科を擁する京都市立美術大学となりました。そして，1969（昭和44）年には美術大学と京都市立音楽短期大学の統合によって京都市立芸術大学が誕生し，幾度かの組織改編を経た現在，美術分野の教育活動は美術科・デザイン科・工芸科・総合芸術学科からなる美術学部が担うようになりました。
　この度の展覧会では，戦後に新制大学として再出発を果たした美術大学および芸術大学において，教員として後進の育成に努めた作家たちを，京都市立芸術大学芸術資料館の所蔵作品27点によってご紹介いたします。京都の戦後美術の発展に重要な役割を果たした上村松篁，須田国太郎，堀内正和，八木一夫らの名品を通じて，作家であり教師でもあった彼らが学生たちに伝えようとした創作の真髄を感じ取っていただければ幸いに存じます。